「哲学随想」
Japanese Dream Realization



 「『ユング自伝』における宇宙意識とゲーテの『ファウスト』について」



JDR総合研究所 代表
天川貴之




 人間の心というものは、全ての人の心につながっている。一見、バラバラに見える人間の個我は、「大我」において、一体となるのである。

 菩薩の境地というものは、常に「利他」、即ち、「自他一体」の境地が基本である。これは、愛においても、認識においても、そうである。

 また、真なるグノーシスというものは、ヘルメス・トリスメギストスの錬金術の哲学的叡智の秘儀について探究してみることでもあろう。

 「ユング自伝」の中に様々に述べられている偉大なる人間の心の内なる宇宙は、真に「宇宙即我」である。真なる宇宙意識が、一人一人の中に、真如として、秘められているのである。それは、地球を眼下に見降ろすビジョンとしても、象徴的に顕われる。

 宇宙意識が、一人一人の心の内奥に秘められているのである。仏教の曼荼羅(マンダラ)であっても、心の内奥世界、宇宙意識の一つ一つの仏陀の密教的ビジョンである。ユングが、日々、マンダラを綴っていたということも、深い真実である。

 仏教も、本来、宇宙仏教であり、宇宙意識である。だから、マンダラとなるのである。あらゆる銀河に通じ、あらゆる宇宙に通じ、その根源とつながっている本源意識こそ、真なる宇宙仏陀である。そして、これは一人一人の全ての人の意識の根底に、「仏性すなわち如来なり」として宿っているのである。

 内なる真如こそ、真なる実在であり、宇宙意識である。外なる大宇宙とは、また、心の内なる光の宇宙生命でもある。心の奥の奥に、根源神とつながる道があり、これに到るために、「真言」があるのである。

 ユングは、ショーペンハウアーに通じるということは、カントを通して解釈するということであり、また、ゲーテの「ファウスト」を象徴的に読み解くということでもあり、それは、「ニーチェのツァラトゥストラはかく語りき」ともなっていると述べている。

 ゲーテの「ファウスト」は、人類の原型の表現であり、創造であり、神の業の創造である。真に偉大なる如来の著作とは、神人の神品である。天地創造を表現して、自らの伝記、人生の思索を結晶させてゆくのである。

 このような天地創造を舞台とした天地を貫く戯曲が、もっと、小説として、作品が顕われてほしいものである。

 さらに、叡智的直観とは、大いなる夢のビジョンの解釈である。日々、夢にみることを、確かに書き示して、精神分析をつづけてゆくことも大切である。

 夢においては、成るべきことがビジョンとして顕われていることも多い。多くの予知夢があり、実在界の体験があるのである。故に、深い解釈が必要なのである。

 潜在意識とは、万人の心の奥にある意識であり、表面意識に対して実現してゆかんとする所の秘められた意識である。この潜在意識を、深く高く広く洞察してゆかなくてはならない。「夢分析」や「夢判断」の達人となってゆかなくてはならない。

 真なる成功者というものは、潜在意識の中に、成功とか、富とか、豊かさとか、名声とか、恋人や伴侶とかを種まきしたものが、実現されてゆくものでもある。

 また、時に、人為を超えた天為の介入というものもあるものである。故に、天為というもの、天意というものを、日々、伺う形で自己実現の道を探究してゆかなくてはならない。自らの宇宙意識の一部を実現現成させてゆかなくてはならない。

 物事に偶然というものはない。全て必然である。その都度、運命の扉は開かれてゆくものである。





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