「哲学随想」
Japanese Dream Realization



 「哲学的幸福の本質と天上世界について」



 哲学者として生きるということは、他の様々な数ある人生の中でも、哲学的真理の探究に自らの悦びを見出した者の人生のあり方である。真理を学び、真理を思索し、真理を著述してゆくということは、非常に価値のあることなのである。何故かというと、吾々は、真理の内においてこそ、永遠の生を生きることが出来、自己の魂を天上へと飛翔せしめてゆくことが可能となるからである。

 確かに、吾々は、この地上において、様々な執着に執われているものである。金銭への執着も、名誉への執着も、地位への執着もあることであろう。しかしながら、哲学者は、哲学的真理の力によって、こうした執着から自由になることが出来るのである。哲学的に解脱することが可能となるのである。

 哲学的真理の内には理念的世界、イデア的世界が展開していて、そこには、抽象的天上界が展開しているものなのである。こうした抽象的天上界へと遊ぶことが可能となれば、魂は限りなく哲学的幸福感を得ることが可能となるのである。

 哲学的真理が展開する抽象的理念の世界には、実に味わい深い天上世界が展開しているのである。理念的世界、思索的世界とは、哲学的魂が住んでいる所の永遠普遍の天上世界としての意識界なのである。それは、言霊によって創られているものである。言霊の奥に理念の世界を示現して、理念の世界独特の幸福感をもたらすものなのである。

 もちろん、哲学の中には、人生哲学として、この地上でよりよく生きるための教訓も多いのであるけれども、哲学的真理が展開される理念的世界より導かれる所の幸福感は、独特の高尚なものであり、この哲学的幸福感に比べれば、いわば、地上的ないかなる快楽も、全く色褪せてしまう程のものであるのである。

 理念的世界に住む者は、もはやその魂は、地上にあって地上になく、理念的天上世界に住む者なのである。こうした哲学者の思索する真理には、永遠普遍の生命が宿るのである。そして、この現象界にありながら現象界を思索し、現象界を貫く真理を洞察し、その哲学的真理を知ることによって、現象界の本質をよりよく知り、生きることが出来るのである。

 こうした思索を通じて洞察された人生の本質、世界の本質としての哲学的真理は、人生のあらゆる迷いから哲学者を解放し、この真に知を深く愛する哲学的精神によって、知的に哲学的に解脱することが出来るのである。

 人生を充分によく生きるためには、哲学的に人生の本質的真理を理解するということがまず必要であり、そして、その人生の中を生きながら、人生の本質を知ることによって、人生に勝利してゆくことが出来るということなのである。

 このように、人生の本質を知り、思索してゆくということは、人生に勝利し、人生をよりよく生きるために必要不可欠の営みなのである。吾々は、哲学という営みを通じて、人生の渦中にいながら、人生の中に理念的天上世界を構築し、これを著し、味わうことが出来るということなのである。

 哲学的な抽象的真理の言霊の中に深い味わいがあり、高尚なる人生の本質的真理があり、それらの真理が吾々を永遠普遍の天上世界に誘うのである。このような哲学的理念的世界の中に天上世界があるからこそ、哲学者は、哲学思想を通して天上世界を体験し、天上世界を抽象的な言霊を通して再構築し、地上に顕わすことが出来るのである。

 故に、イデア的天上世界とは、現象の奥にある世界だけではなく、哲学的真理の言霊の中にある世界でもあるのである。故に、哲学者は、哲学的な真理の言霊に超入してそれと一体となる時に、生きながらにして天上世界を現出せしめることに成功するのである。

 こうした理念と一体となって構築された哲学的叙述は、天上世界そのものなのである。真なる哲学を学ぶ者は、天上世界を体験し、見性し、自らの魂の内に天上世界を再現し、再構築し、自ら自身の言霊で、さらに天上世界を創造してゆくことが出来るのである。真なる哲学の営みには、こうした理念的天上世界の創造の追体験という側面があるのである。

 哲学的に天上世界を味わうということは、哲学者にとって最高の幸福であり、こうした哲学的悦びというものは、深く高い理念的悦びなのであり、永遠普遍に限りなく近い真理そのものに接する悦びなのであり、ある意味で、真理そのものと一体となる悦びであり、真理そのものを、自己創造、自己構築する幸福なのである。

 哲学的真理というものは、人類の歴史において脈々とその伝統があるものであり、哲学的幸福を味わえる書は、無数に実在しているのである。こうしたものを味わえるだけでも、人類の一員として哲学的生を受けた最高の悦びであるといえるし、それは、人類の伝統的精神の大海の一つの大きな流れなのである。

 確かに人生には様々な幸福があることであろう。しかし、哲学的幸福は、不滅の、永遠普遍に近い理念そのものの味わいなのである。こうした哲学的幸福に生きるということは、他の何ものにもかえがたい唯一無二の哲学的人生であるといえるのである。

 これこそが人間の本質であり、世界の本質なのである。





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