理念情報

 「哲学的コラム」
Japanese Dream Realization



「理念哲学体系とカント哲学の概念と実践哲学について」



JDR総合研究所 代表
天川貴之




 カント哲学における道徳法則というものは、善悪を決定する基準となるものである。このカントの云う所の「永遠普遍の道徳律」という言葉自体が、哲学的悟りの言葉である。これはまた、「永遠普遍の真理」ということでもある。

 実践理性とは、このような「永遠普遍の道徳律・真理」を認識する能力、即ち、自己の内なる神性、仏性、理性というものなのである。カント哲学に立ち還って、しかも、カントに執われずに、自己の哲学的立場を確認することも大切である。

 難解なカントの哲学体系の言葉や概念を、自ら自身の哲学体系に基づいた真理の言葉に翻訳することも大切である。このように、カントを、分かりやすい言葉で、自己の哲学の体系の中に消化吸収してゆくことである。

 カント哲学で説かれるような哲学的な理性によって認識される道徳律だけでは、本来、広大無辺な真理の全体からすれば、多少、狭いと思われる。真理の体系の中には、様々な真理があってよいのである。

 例えば、宗教的真理と哲学的理性的真理が共通項を持たなければ、より生産的な仕事は出来ないであろう。

 「理念哲学」における「理念」とは、或る時は、宗教的真理であるものであり、また、芸術的真理でもあるものなのである。

 このような「理念哲学」というものが、プラトン的真理は当然のこと、仏教的真理やキリスト教的真理と共通項を持つものであるということを明示しているのが『理念哲学講義録』の骨子であり、こうした仏教的真理やキリスト教的真理とは別の純粋な哲学的概念というものだけで考えるのは、やはり少し幅が狭いのである。

 プラトン的、カント的、ヘーゲル的、エマソン的な哲学的真理が、宗教的真理や芸術的真理等とも基底を一つにしているということを認識することによって、真に豊かな哲学、生きた実践哲学体系を育んでゆくことが出来るのである。





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