理念情報

 「哲学的コラム」
Japanese Dream Realization



「司馬遼太郎の描く志士の境涯とルソーの思想について」



JDR総合研究所 代表
天川貴之




 幕末維新の志士達の物語というものは、歴史小説として、司馬遼太郎によって様々に描かれている。『竜馬がゆく』や『翔ぶが如く』『世に棲む日々』『燃えよ剣』などである。

 『翔ぶが如く』の中で描かれているように、アメリカの独立革命とフランス革命の根本にあったものは、ルソーの『社会契約論』であり、中江兆民を通して、明治日本にも翻訳され、日本の思想界にも、政治経済にも影響を与えているのである。

 西洋社会に最も影響を与えたものは、聖書と、ルソーの『社会契約論』であるというのが、司馬遼太郎の世界観なのであり、それはまた、史実なのである。

 この中江兆民をフランスに遣り、ルソーの『社会契約論』の翻訳出版に協力したのは、大久保利通である。『翔ぶが如く』では、大隈重信も志士の一人として活躍している。大隈重信は、教育者である以前に、志士として活躍しているのである。

 そして、福澤諭吉の慶應義塾は、日本資本主義を学ぶ学塾であったとしている。さらに、坂本龍馬や西郷隆盛や吉田松陰や木戸孝允を発見することは、司馬遼太郎の小説の悦びである。

 夏目漱石に並ぶ文豪としての魅力が、司馬遼太郎の作品にはあるのである。それは、英雄の境涯を描く力量であり、人々を理想的偉人の境涯に導く力があるのであり、それはまた、ルソー的時代精神・世界精神へと導く歴史小説でもあるのである。

 かの三島由紀夫もまた、志士として殉死したのかもしれない。安倍晋三元首相も、そうかもしれない。まさしく、「一粒の麦、もし死なずば」である。

 このように、志士達の志は、後世の人々の糧となってゆくのである。





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