報われない努力というものはあるのであろうか。確かに、善意のつもりであっていたとしても、真に相手のためにならないことはあるし、公のためにならないことはあるであろうし、それを見極めるだけの見識というものは必要であろう。
その意味において、努力逆転の法則というものもあり、努力すればする程に、マイナスになってしまうこともありうる。それは、エネルギーの方向性が異なっていたからである。いくらエネルギーを注入したとしても、その方向性が逆の方向であったら、そのエネルギーは、ある時にはマイナスとなり、報われない努力となってしまうからである。
その意味において、リーダーシップというものは大切である。リーダーのリーダーたるゆえんは、限りなくその努力が報われるように、その方向性を判断することにあるといえるのである。また、自分自身の心の内においても常に努力し、エネルギーを投入するだけではなくて、その努力やエネルギーが報われるように、理性によって、よくよく分析しつづけてゆくことが大切である。そして、自己の努力やエネルギーがプラスの方向性をもつように点検してゆくことが大切である。
しかしながら、善意というものは、見識とは別に、報われることが多いものである。善意そのものは、遠からず相手に伝わるものであり、真意も同様であり、善意は報われ、悪意は直されてゆくものである。相手に善かれと思ってやったことであり、天のために善かれと思ってやったことは、必ずや天が報い、永い眼でみて人々に報われてゆくことになるのである。
故に、永い眼でみて、人間は、その動機と過程と成果が、必ずや天地人に報われるようになっているというのが歴史的真実である。それは、時間が経てば経つ程に、如実に分かってくるのである。歴史に何が遺るのか、それが、一握りの真心であることも多いのである。 |