諸君よ、教育を考えるにあたっては、明治前後の先達のことをよくよく念頭に置いてゆきなさい。福澤諭吉にしても、大隈重信にしても、新渡戸稲造にしても、根底に深い哲学的教養と武士道的道義心を信条にして、全人格的教育を成してこられたことであろう。教育を成すにあたって、天を敬い、人を愛する精神を中軸に置き、健全で柔軟な宗教的情操を倫理道徳として育んでこられたであろう。それは、真に国際的日本人、代表的日本人の教育を考えるにあたって、最も大切な眼目である。

　己を虚しくして、天命を仰ぎ、使命感をもって天職を成してゆくということは、どのような職業分野においても、最も尊い文化であるといえるのである。天を敬う心というものは、伝統的には、カントの批判的倫理道徳や、武士道精神と一致し、その真髄は、かのローマ帝国の指導者が身につけられていたようなストア哲学の精神、実学的普遍哲学の精神と一致するものなのである。

　故に、日本国においても、新生日本ルネサンス、新生地球ルネサンスの眼目として、かつてのカントの批判的倫理道徳や、武士道精神や、ストア哲学にあたるものをルネサンスしてゆこうではないか。柔軟で、普遍的で、健全な道徳倫理の哲学を、一大文化風土として成就してゆこうではないか。それが、国際的日本人として、代表的日本人として、どのような分野で活躍するにあたっても、真にその道を通して、地球文化ルネサンス、日本文化ルネサンスに貢献してゆく大道である。

　真なる教育として倫理道徳をルネサンスし、新生してゆく所から、自然に新生日本ルネサンスの大輪が、新生地球ルネサンスの大輪として、精神の太陽として昇ってゆくのである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。