諸君よ、「足るを知る」ということは、消極的な精神態度ではなくて、限りなく積極的な精神態度なのである。何故なら、それは、「今」与えられているものに「価値」を認め、心奥から讃嘆してゆくことによって、その「実相的価値」「理念的価値」たる本来の価値を顕現してゆくことであるからである。

　世の中には、本来価値がありながらも、その価値が充分に認識されていないが故に、本来の真価が発揮できていない物や、事や、人物が、数多くおられるのである。こうした既に与えられているものに対して、徹底的に「感謝」をしてゆくということが、さらなる「価値」を生み出し、さらに付加「価値」を高めてゆくことを通して、より一層の繁栄を通した平和と幸福が実現してゆくということも真理なのである。

　その意味において、「今」の日本、「今」の地球程、恵まれている環境は非常に稀であるということも、よくよく認識しなくてはならない。その天来の「恵み」に気づき、真に「感謝」してゆけば、自ずから、真なる物心共なる「繁栄」と「健康」の源が発見されてゆくのである。少しの「光明」の照らし方の違いで、物や、事や、人が、全く異なった動きをみせてゆくということが「天の摂理」であり、「天の配材」なのである。

　「経済現象」であっても、「天の摂理」が働き、「天の配材」であることに変わりはないのである。故に、ただ「今」において、よくよく「感謝」して、その「個性的実相」「時代精神的実相」を礼拝してゆけば、自ずからすべてのすべてが活き活きとその「所」を得て、本来の「真象」を「神の国」そのものとして、「仏の国」そのものとして、「理念（イデア）の国」そのものとして顕してゆくものなのである。真に心身共なる健康にとってよい心的態度、精神態度は、真に心身共なる繁栄にとってもよい心的態度、精神態度なのである。

　難しい問題に立ちあたった時期には、常に「シンプルイズベスト」な「原点」に立ち返れ。そして、「空」の境地をもって、すべての物と、事と、人物を達観せよ。さらに、各々の「個性的実相」「個性的理念」を礼拝してゆけ。さすれば、あらゆる生命は本来一つであり、「天の摂理」そのものの中に生かされているのであるから、自然と最善の選択を積み重ねてゆくことが出来るものなのである。

　「ローマは一日にして成らず」というが、新生日本建設も、新生地球建設も、一日にして成るものではない。しかし、日々「足るを知る」の精神をもって、一歩一歩、光明の歩みを積み重ねてゆけば、自ずから、そこに「神の国」の大道、「仏の国」の大道、「理念（イデア）の国」の大道が顕現してゆくものなのである。

　諸君よ、日々「足るを知る」感謝の念いをもって、日々「大いなる夢」を念い描いてゆけ。さすれば、盤石な金剛石の如き基礎の上に、富士山そのものの黄金の城が築かれてゆくであろう。

　真なる感謝の念いから真なる報恩の念いが生まれ、真なる懺悔の念いから真なる新生の念いが生まれ、共に真なる奉仕の実践となって、「惜福」「分福」「植福」を積み重ねてゆけば、どのような境地からでも、幸運の未来を開拓してゆくことが出来るのである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。