諸君よ、「陰極まって陽転す」というのが、易経の教える所である。日本国の運命も、世紀末の十年によって陰極まった感があるけれども、その一見マイナスと観えし、諸々のベクトルが、今後はプラスへと転じ、圧倒的な善を湧出させてゆく浮力となってゆくのである。その意味において、失われた十年というものは、エネルギーが顕現化せずに、貯えられていたともいえるのである。

　日本が真の意味で底力を発揮してゆくのは、これからである。それだけの諸々のプラスの要素が顕現化せずに、マイナスの要素のみが顕在化してゆく方向にあったのが、今までの十年の歩みであり、世紀末に到るまでの日本国の歩みなのである。

　故に、これより後、マルチメディア社会が到来するにあたり、全世界のメディアも、日本のメディア以上に日本の長所や美点を評価して下さっている所もあるのであるから、善い所をもっと顕在化させてゆくような方向で、「言葉の力」を活用してゆこうではないか。美点をもっと顕在化させてゆくような方向で、「念いの力」を活用してゆこうではないか。プラスな部分を発見し、自他共に認め合えば、それだけ国益も、地球益も増大してゆくのである。マイナスな部分を発見しても、それをプラス思考をもって、相手が善転してゆくように導いて差し上げれば、もちろん単なるマイナス思考とはならず、超プラス思考となって、マイナスを転じて一大光明芸術を創造し、それだけ国益も地球益も増大してゆくことになるのである。

　自他一体、自他一如こそ、永遠普遍の「心の法則」である。陰日向なく他人の良い所をほめ、他人の善き所を育ててゆくことこそ、最高の無償の愛であり、自他一体に天の蔵に徳を積む道である。「言葉の力」「念いの力」「信念の力」には、富を増大させてゆく無限の力が実在するのである。「中庸」と「中道」を心得て、善いものを善いものとして観じ、言葉に表現し、一見悪いように観えるものも、光明に転じてゆく洞察力をもった一大光明思念をもって観じ、言葉に表現してゆけば、「心の法則」に従って、国富が増大してゆくのである。そして、他国の善い所を顕現させてゆくことによって、自国もますます国富が増大してゆくものなのである。

　諸君よ、神は「言葉」によって、すべてのすべてを創られたのである。「言葉」こそすべてを創る源なのである。故に、「唯心論的経済思想」をもって、さらには、繁栄一元の「実相（理念）論的経済思想」をもって、自他一体に現実の富を無限無数に供給してゆけ。それこそ真に「心」をもち、「心の法則」を悟った人類のなすべき最高の経済活動なのである。無限の豊かな「心」そのものが、無限の物心共なる豊かさを実現し、顕現してゆくのである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。