諸君よ、経済の流れを全体的に把握してゆかなければならない。経済の流れが、たとえ自律回復に向かっているとしても、未だその回復が本格的でなく、基礎体力が充分でない時期には、自律回復だけに任しておいてはならないのである。危機の時期には、危機を打開するリーダーシップを断行してゆかなければ、危機が見過ごされてしまうことになるのである。

　「今」現在の日本を考えた場合、フリードマン流の金融政策だけでは、経済恐慌の危機を乗り超えてゆくことは出来ないのである。ハイエク流の減税政策は大切であるが、自由化政策だけでは充分ではないのである。現に、「今」現在の日本経済が、全体としてマクロ的に維持されているのは、財政出動の結果なのである。市場の自律回復の結果ではないのである。そのことを考え合わせてみた時期に、ケインズ的政策を中心に実行した上で、ハイエク的政策を考えてゆくことが生き筋なのである。

　その意味において、かつてのアメリカ恐慌を、金融政策のみによって打開出来たというフリードマンの仮説は、今の日本にこれ以上適用してはならないのである。「ゼロ金利政策」によっては、日本経済が充分に回復出来なかったということは、既に実証されているのである。

　日本がここ数年において、恐慌に陥らず、ゼロ成長を維持出来たのは、ケインズ的な財政出動の効果以外の何者でもないのである。むしろ、正統的ケインズ政策を断行してゆくためには、「適正金利」は尊重されなければならないのである。「利」とは適正である限り、圧倒的な善である。そのことによって、大局的にみれば、社会全体が活性化してゆくものであるのである。

　そして、経済的危機の自覚から、経済的危機を真に打開し、「今」現在の調子で、さらに力剛く日本経済の運命が開拓され、真に日本経済に太陽が昇り、経済全体が本格的な自律回復を達成した暁には、中庸に臨機応変に、経済政策の質を変えてゆけばよいのである。これが「中」の視点であり、ハイエク経済学も、ケインズ経済学も、真に活かす道であり、ひいては、フリードマン経済学の足らざる視点を補完してゆく基本的な考え方なのである。

　真に物心共なる繁栄への意志、精神的ジャパニーズ・ドリーム・リアライゼイションへの光明信念、精神的グローバル・ドリーム・リアライゼイションへの光明信念を貫徹して、新時代の太陽の国の実相を顕現してゆこうではないか。

　衆知を結集して、なおかつ明確で決然としたリーダーシップを断行してゆく時期、真に日本国の運命が開拓され、あらゆる方の運命が開拓されてゆくのである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。