諸君よ、兵法にも「理念」があり、「光」があり、「生命」があり、「実相」があり、「魂」があり、「神々」が実在するのである。故に、「理念兵法」をよくよく究めてゆけ。勝利ということは、天の栄光の顕れである。そして、兵法を活かす道こそが武士道であり、「理念武士道」なのである。

　 「大和」には、「大和兵法」というものがある。その真髄は「絶対無」であり、未発の「中」であり、「中道」であり、「中庸」である。よって、兵法に使われることなく、兵法の主人となれ。兵法の「法」の中に、「中心精神」を実現してゆけ。剛さを究めてゆく道の中には、智謀を究めてゆくことも含まれているのである。成功も天の栄光の顕れであるならば、勝利も天の栄光の顕れであり、勝利の法則は、繁栄と健康と平和の源であり、大調和の源なのである。

　 「孫子の兵法」であっても、その基本、定石を、真髄において活かすことが出来るか否かは無限無数の道があり、実力の差があるのである。かのナポレオンは、「孫子の兵法」の達人であられた。かの諸葛孔明も「孫子の兵法」の達人であられた。かの韓信も、劉邦も、項羽も、「孫子の兵法」の達人であられた。そして、日本では、織田信長も、豊臣秀吉も、徳川家康も、武田信玄も、上杉謙信も、山縣有朋も、東郷平八郎も、こうした英雄達は、すべて兵法の達人であられ、「兵法の真理」の中に、実践を通して「道」をつけ、「応用の型」を創られ、武士道を探究されたのである。

　 兵法の中にも王道と覇道があり、表と裏があり、光と影と闇が存在するのである。「理念兵法」とは、本来全き天の御心を、全き正義として、全き仁徳として実現し、顕現してゆくためにこそあるのである。そして、その応用は、個人においても、家庭においても、会社においても、地域社会においても、国家においても、地球全体においても、宇宙全体においても、様々にあるのである。

　 常に「仁」「義」「礼」「智」「信」の五常の徳と、「誠」「忠」「孝」の三常の徳によって、「理念兵法」の心とし、徳治主義の大道によって治めてゆけば、「修身」「斉家」「治国」「平天下」、あらゆるものを真に「理念経営」してゆくことが出来るのである。

　 諸君よ、すべからく「理念兵法」を、知行合一の精神の下に、体得悟得し、真に気品の泉源、知徳の模範にふさわしい君子的リーダーとなれ。真に剛き者こそが、真に優しくなり、真に慈しみ深く、人々を指導してゆくことが出来るのである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。