諸君よ、絶対無のリーダーシップのあり方について述べておきたいと思う。

　絶対無とは、自らを限りなく無にしてその場所を設け、無数の個性を包み生かし育むリーダーシップのあり方である。あらゆる個性を生かしてゆく所に、その本質がある。しかし、自らを無にするといっても、全く自分を無くしてしまうのでは、単なる無にすぎない。

　絶対無のリーダーシップとは、自己の内にしっかりとした個性的実相を確立することが条件なのである。はっきりとした金剛石の如き自己があってはじめて、他の多くの人々の個性を尊び学び受け入れることができるのである。

　例えば、日本国のリーダーであるならば、心の内に確固とした日本精神の自己があってはじめて、国士としての自己があってはじめて、その自己信頼のもとに、限りない個性に心を開くことが可能となるのである。何故なら、自己の中心点がしっかりとしていないとあらゆる個性を真に生かすことはできないし、またあらゆる個性によって自己を生かすこともできないからである。

　故に、日本国に自己信頼が必要な如く、日本国のリーダー個人にも自己信頼が必要であり、その信頼すべき統合精神が限りなく普遍的な日本精神であってはじめて、あらゆる個性を開花せしめながら、新生日本建設を行ってゆけるといえるのである。

　故に、新時代の日本のリーダーにまず必要なことは、国士としての自己確立である。自己の国士としての、日本精神の精髄たる哲学、宗教、芸術を通して練磨された人格の確立である。

　そして次に、あらゆる個性を尊重し、学び受け入れ、生かしてゆく姿勢であり、その意味で無の場所となることであり、さらには、すべてを一なる時代精神のもとに統合し、力強いリーダーシップのもとに、新生日本を創造してゆくことである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。