諸君よ、圧倒的なる善念の前に本来敵はない。敵として立ち現れて観えているのは、目の錯覚である。よくよく誤解を去り、恐怖心を去り、偏見を去り、真に正しく観じ、「正見」したならば、敵と一見観えし方程、実は縁の深い同志であられることが多いのである。

　その意味で、あらゆる自我の執われを空しくして、まず圧倒的善念を注げ。無条件に絶対に愛せよ。相手や相手国の存在そのものすべてを、圧倒的なる善念で包み込め。さすれば、必ずや相手は善人となって、より深い絆を有した同志として立ち現れるのである。そして、敵として一見立ち現れていた姿は、実は観世音菩薩の方便であって、自らの心を磨き器を創ってゆくための、ありがたい天の配剤であったことに気付くのである。

　故に、よくよく議論せよ。よくよく相手の中に一片の理を見い出す努力をせよ。どのように立ち現れておられても観世音菩薩なりと観じて、大いなる感謝と、謙虚さと、礼節と、無私なる念いと、圧倒的善念をもって受けとめよ。

　さすれば、必ずや自他共によくなってゆくしかないのである。自他共に善転してゆくしかないのである。大いなる感謝の心をもって相対すれば、すべての方は活きてくるのである。たとえ敵として立ち現れているような方でさえも、感謝をもって相対すれば、その本来の姿、実相の姿を顕し、本来の同志となってゆくのである。そして、自他共に真に活きてくるのである。

　どこまでも至誠を以って、圧倒的なる善念を以って、大いなる感謝と謙虚さと礼節を以って相対すれば、大調和の世界が示現してゆくのである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。