諸君よ、哲学者というものは、心の持ち方によって様々に自己の人生にも、他者の人生にも、国家の運命にも、世界の運命にも、根源的な影響力を及ぼしてゆくものである。よって、その哲学の効果というものによくよく着眼しなければならない。
かのショーペンハウアーにしても、哲学的天才であることは誰もが認める所であるが、その思想の効果において、多くの方々を半ば救済しながらも、結局の所、多くの方々に暗い人生観を与え、暗い世界観を与え、どちらかというと悲劇の傾向性ももたせているといえる。
確かに、ショーペンハウアーの述べられているところの真理は鋭い視点であり適切ではあるが、人間の暗部を強調してみるということ、世界の暗部を強調してみるということが、必ずしも多くの人々を幸福にするとは限らないし、社会全体、国家全体、世界全体を発展繁栄させるとは限らないのである。
そのような例は、天才的哲学者、天才的思想家にはよくみられることである。その洞察力が鋭ければ鋭い程に、正確であれば正確である程に、的確であればあるほどに、本質を言いあてていればいる程に、かえって人間関係を悪化させ、社会全体、国家全体、世界全体を悲劇に導くことはよくあるのである。
これは普遍的な心の法則であり、大宇宙を貫く法則である。よって諸君らは、鋭き哲学者であればある程に、天分豊かな哲学者であればある程に、光明思想の傾向を培っていただきたい。そして、人生の実相、国家の実相、世界の実相を、真なる光明荘厳の境地で、光明に満ち満ちた境地から観じ、光明一元の人生、光明一元の国家、光明一元の世界を築いていっていただきたい。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。