諸君よ、常に大調和を旨とせよ。心を一つにして、あらゆる困難に立ち向かえ。心を一つにすれば、そこに結界が生じ、あらゆる災いを解くことができるのである。あらゆる災いをはね返し、あらゆる福を招き寄せることができるのである。

　そのために大切な心構えとは、常に「大和の心」を忘れないということである。常に自他一体として、すべての生命が一つに結ばれて生かされているということを忘れないことである。本来一つの生命が、物質に執われ、肉体に執われ、小さな自我に執われることによって、バラバラとなり、相争っているかの如く見えるのである。

　しかし、あらゆる個性は本来一つである。あらゆる自己は本来一つである。あらゆる夢は本来一つである。故に、その中にあらゆる迷いは本来ない。あらゆる相克は本来ない。あらゆる相争いは本来ないものなのである。それらはすべて、すべての生命が本来一つであるという「大和の心」の不在でしかない。大いなる愛の不在でしかない。大いなる知恵の不在でしかない。大いなる光明の不在でしかない。

　すべての個が「所」を得て、本来の姿を回復し、本来の姿を再興すれば、本来すべての個性は大調和裡に和解し、大調和裡に本来一体の自覚を回復し、本来一体の自覚があってはじめて、あらゆる個性が活き幸えてゆくのである。

　そこに、本当の「統合」と「個性の開花」の精神が生まれ、そこに、本当の秩序と自由が生まれ、そこに、本当の博愛と平等も生まれるのである。あらゆる個性が、かけがえのない神の心の一部であり、全体にとっても大切な存在として生かされているという点において、博愛であり、平等であり、個性を活かすという意味において、自由は尊重されるべきものである。

　しかして、その上に、本来の秩序が顕れ、本来の礼節が顕れ、本来の清らかさが顕れ、本来の統合の精神が顕れ、本来の大和の心が顕れ、本来の大和の心ある所に、本来の「大和の国」が顕れるのである。すべてのすべては一つであり、かけがえのない実在である。本来一つの生命を活かすことこそ、「大和の理念」そのものなのである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。