諸君よ、教育とは最高の芸術である。人生を如何に豊かに生きてゆくことができるかということは、如何に芸術的に、自己の人生を昇華してゆくことができるかによって決まるといっても過言ではないのである。一見欠点とみえし本性も、それを活かすことができたならば、そのまま最高の長所ともなり、ある時期は武器ともなることが可能なものである。

　よって、諸君らは、浅薄な常識の中で一見欠点とされるものに対して劣等感を持ったり、失望したりすることは全くないのである。欠点とみえしものをよくよく深く観ずれば、実はその中に諸君の天命となるものがあったり、人生の飛躍台となるものがあったりするのである。故に、自己の持って生まれたもの、天から戴いたもの、両親から戴いたものの中には本来マイナスなものはないのであるという確信を持ちなさい。

　そして、マイナスと見えしものがあったならば、それは未だ活かしきっていないプラスの不在であることに気づきなさい。人生の中で最も大いなる芸術とは、一見欠点と見えしものが、観の転回と精進によって、圧倒的長所となって大成してゆかれる所にあるのである。一見マイナスと見えしものが、発想の転換と運命の開拓によって、圧倒的プラスとなって大成してゆかれる所にあるのである。

　柔道には｢柔よく剛を制す｣という理念があるが、欠点こそよく長所となりて、浅薄な常識に打ち克ち、マイナスこそよくプラスとなりて、自己の壁とみえしものを打ち破ってゆくという真理があるのである。

　故に、自分が天から与えられた配材を最高度に活かしきっていただきたい。自己のすべてを真に活かす者こそが、人生の最高の勝者となり、その過程が一大光明芸術となってゆくのである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。