諸君よ、戦いは本来ない。不和は本来ない。故に、あらゆるスポーツの本質は戦いにあるのではない。自己実現の道にこそあるのである。それは、大いなる夢の実現の過程である。大いなる自己を実現する過程である。目前に敵として立ち現われているのは、実は敵ではない。自己を磨き育てんとしておられる恩師でもある。
故に、スポーツの本質は自己向上にあり、他者を押し上げてゆくことにあり、すべてを輝かせてゆくことにあるのである。故に、スポーツの中にこそ、善一元の世界をこそ観ぜよ。真に強者が現われてゆくことによって、すべての者が生長してゆくのである。生長の中に悦びを見い出してゆくことこそ強者の誉れである。
そして、自己が強者になることによって、すべての方を押し上げてゆくことこそ強者の愛であり、仁である。故に、強者は仁の体現者にならなくてはならぬ。それが、王者たるものの本道である。そして、あらゆるものをチャンスとしてとらえ、無限界の自己に挑戦してゆかなくてはならん。その意味において、自己にとっての勝利の道は無限である。
そして、その勝利の意味を真に知ることも本当の意味では自分である。自分自身との闘いこそが強者の本質である。それは、より弱き自己からより強き自己への過程である。一戦ごとに確実に成長してゆくことこそ試合の醍醐味である。
その意味で、たとえ一戦であろうともかけがえのないものである。一戦一戦の中に一期一会がある。生命をかけた出会いがある。生と死と新生がある。より一層の生命の輝きを生ぜせしめることこそ、強者の使命であり、最強の精神をどこまでも探究してゆくことこそ強者の道であり、大いなる夢である。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。