諸君よ、人間の個性とは不思議なものである。個性を尊重して活かしてゆけば、人間はどこまでもやる気が出て、無限に伸びてゆくが、個性を否定して抑圧してゆけば、人間はやる気を失い、本来伸びる芽も摘んでしまうことにもなりやすい。

　　個性を伸ばすということは、大いなる聖業である。教育はもちろんのこと、経営も、政治も、宗教でさえも、要諦はここにあるのである。

　　個性を伸ばしてゆくための大切な観点は、その方の本性を尊重してゆくということである。必要以上に型にはめすぎないということも大切である。できないことを責めることは極力止め、できることをどれだけ探すかということが大切である。そして、本当に好きなことをどれだけ探すかということが大切である。

　　その意味で、たとえ小さな芽であったとしても、できることを発見し得たということは、人生の宝を発見したことと同じである。

　　本当に好きなことを発見し得たということは、それだけ人生が豊かになったということである。後は、その小さな芽を徹底的に育ててゆくということである。

　　できるならば、その分野で第一人者となり、その分野に「道」をつけ得たならば、それこそ「大いなる夢」が実現した人生であるといえるが、まずは「志」を立てるだけでも、人生は明るく、幸福に、悦びに満ちてくるものである。

　　そして、大成した暁には、その方の欠点や短所とみえしものが、その方独自の個性的絶対価値の一端に過ぎなかったということが分かるのである。

　　できること、好きなことを徹底的に発見し、讃嘆して、伸ばし、育んでゆけば、万人が天才になり、幸福な繁栄した人生を実現してゆけるのである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。