諸君よ、稲盛和夫氏の京セラフィロソフィーの中に、仏教の六波羅蜜多の修行徳目が入っているということは、注目すべき点である。このように、本当の成功哲学、繁栄の哲学というものは、仏教の真理の修行と一致するのである。
まず、第一に、「布施波羅蜜多」である。利他行の実践である。愛の想い、「与えたい」という愛の想いを持つだけでも、光が入るのである。
第二に、「持戒波羅蜜多」である。貪・瞋・痴・慢・疑・悪見の六大煩悩を反省し、戒めてゆくことである。足ることを知り、感謝をし、心を平静にし、謙虚な心、神仏を信頼する心を持つことである。
第三に、「忍辱波羅蜜多」である。いかなる困難な状況においても耐え忍び、常に不動心、平常心を持って、何があっても前に進んで努力してゆくことである。
第四に、「精進波羅蜜多」である。日々、倦まず弛まず誰にも負けない努力をしてゆくことである。「努力即幸福」の境地を持つことである。
第五に、「禅定波羅蜜多」である。一日一日、反省・瞑想・祈りの時間を持って、深い「定」に入ることである。さらに、読書をして、思索を為し、自省録をつづる、日記をつづる時間を持つことである。
第六に、「般若波羅蜜多」である。これらの様々な修行を通じて菩薩・如来の智慧を持ち、仏と一体となる智慧を持ち、大宇宙を貫く智慧を持ち、己が内なる智慧の完成を得ることである。
このような六波羅蜜多の教えは、仏教を超えて、普遍的なる智慧に通ずるものであり、学徳の王道でもあるのである。