塾生諸君に述べておきたい。国際高等理念研究所において探究しなければならないことは、高等理念の探究そのものである。哲学の探究が、同時に国際国家戦略たりうるものを探究してゆけばよいし、それは可能であるといえるのである。
法学にしても、経済学にしても、政治学にしても、広い意味では文化である。文化の創造が、同時に国家の安全保障となり、同様に、地球環境問題解決に貢献しうるものを探究してゆけばよいのである。
例えば、日本国の法の精神であっても、国家百年の大計たりえるし、その基本的内容が常識ではない国家も数多く存在するので、それを広げてゆくということも、外交たりうるのである。
同時に、日米同盟の基本において、法の精神が一致しているという点も大きいといえるのであり、憲法改正論議や法律制定論議にしても、基本的な所を維持してゆくことそのものが世界戦略たりえるという観点から、良い所を積極的に遺してゆくことが大切であり、さらに、それを広げてゆく姿勢が大切であるといえるのである。
さらには、真善美聖の基本理念を探究する姿勢を高等理念として呈示してゆくことは、各界をあげてなしてゆくべきであり、特に教育界においては、なしてゆかなければならない徳目であるといえるのである。
ただ単に答えを呈示するのではなくて、理念を、真理を探究してゆく姿勢を身につけてゆくこと自体に意義があるのではないかと思うのである。真に地球に資すると同時に、日本国に資する理念とは何かということを、皆で魂の力をふり絞って探究してゆけばよいのである。
教育の再生と、文化の創造と、国家戦略という大志は、根本の所で一致してゆくのである。志を大局的に一致させて、知恵と情熱と時代の精神、時代の風を共有してゆけば、必ず、道が拓けてゆくしかないのである。