塾生諸君に述べておきたい。日本的経営の中には、まだまだ伸ばしてゆくべき美点が数多く実在しているのである。例えば、松下幸之助の経営哲学であっても、それは日本的悟りの蓄積であり、その言霊の一つ一つは、日本的悟りをもって悟ってゆかなければ、表面的な言葉面のみでは分かりにくいといえるし、それ故にこそ、無限の深さがあり、一生涯をかけて習得してゆくべき道であるといえるのである。
世界的企業の中には、次々と社長やCEOが変わってゆく企業も数多くあるが、そのような社長やCEOの多くは、歴史に遺るような本物の経営者であるとはいいがたいのである。その意味において、大器晩成してゆくような本物の経営者を探し、社員一同、永きにわたって苦楽を共にし、悟りを共有し、物心共に国家や世界に貢献してゆくということは、一人一人の社員にとっても、その充実感と安定性において、真なる幸福の王道であるといえるのである。
その意味において、日本的経営の王道を尊重し、その伝統を真に守り育て、本当の意味での物心共なる精神的ジャパニーズドリームを育ててゆかなければならないといえるのである。その意味において、一生ついてゆけると思えるような社長を発見し、育ててゆくことが大切であり、どのような人物が、真に本物の歴史の風雪に耐えうる経営者であるかということを探究しつづけてゆくことは大切であるといえるのである。
故に、松下幸之助のような大器晩成してゆくような本物の経営者になる道を、現在の若者に「大いなる夢」として描いていただくような風潮を創ってゆくことが、真なる国家百年の大計であるといえるのである。
真に本物の経営者を尊重してゆけば、真に経営に道がつき、繁栄と健康を通した平和と幸福と文化創造の大道が実現成就してゆくといえるのである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。