塾生諸君に述べておきたい。情と理と良識と決断力、実行力を培ってゆくということは、真なる人格を探究し、真なるリーダー像を探究してゆく上で、大切な徳目である。
この中で、特に、情としての心や、精神や、魂を培ってゆかなければ、人間として、あらゆることが虚しいものになってしまうであろうし、そこに、文化的営みなど、そもそも生まれてこないであろう。しかし、良識に基づいて、自分自身で思索をしてゆくという良き習慣を培ってゆかなければ、真なる自主性と協調性、積極性のある判断力を育ててゆくことは出来ないであろう。
その意味において、良識に基づいて、自らの理性によって、筋道立った思考が出来ることを尊重してゆく教育こそ、真なる理念(イデア)教育であり、同時に、理念(イデア)教育そのものとしての実学教育の本質であるといえるのである。
さらに、具体的決断、具体的実践にあたっては、限りなく、天地人に対して、心を空しくしてゆく精神態度をもってゆくことが、自然な徳を育み、天の栄光を、人を通して、地上に無限無数に顕現してゆくことになってゆくであろう。
人間は、本来、有限な「理性的実存」であるけれども、同時に、「理性的実存」である限りにおいて、大いなる無限者と、本来、一つにつながっているものなのであるから、常に、謙虚に、柔軟に、素直に、自己内奥の理性、神性、仏性、良心、良知を磨きつづけてゆけば、「理性的実存」としての、真なる勝利と成功と繁栄と健康と大調和の世界を、心の内にも、心の外にも、真に育み、築いてゆくことが出来るのである。
真なる善き教育のもとに、あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。