塾生諸君に述べておきたい。「慎重さ」と「手堅さ」と「柔軟さ」という徳目は、真なる「剛さ」を探究してゆく上で、大切な観点であるといえるのである。
真なる「剛さ」の中に、「大調和」という「理念(イデア)」を積極的に拝み出してゆけば、「剛さ」そのものが、「不和」の源となることなく、「剛さ」によってこそ、真なる「和」が保たれ、真なる「和」によってこそ、真なる「剛さ」が保たれ、「十七条の徳目」が、相矛盾することなく「統合」され、同時に、「個性の開花」がなされてゆくといえるのである。
その意味において、「十七条の徳目」のそれぞれを、一つ一つ丁寧に磨き、精進を重ねながら、その一つ一つの徳目が矛盾しないように、常に、「中」の立場を探究してゆきつづけることが、真なる哲学的精神の真骨頂であり、真なる学徳精神の真骨頂であり、真なるリーダーの「器」づくりの真骨頂であるといえるのである。
このように、一つの徳目(分野)を深く穿ってゆけば、あらゆる諸徳に通じてゆくことも真理であり、同時に、あらゆる徳をそれぞれに修得してゆくことも、一つの徳目(分野)を深く穿ってゆくことになることも真理であるといえるのである。
故に、自らの「道」として、得意な、天性のある長所を発見し、徹底的に伸ばしてゆくことを通して、あらゆる分野に学び、あらゆる分野に「実在」している「理念(イデア)価値」を礼拝し、修得しつづけてゆけば、真なる友愛の輪、真なる同志的連帯の輪、真なる明朗親和の輪が広がってゆき、その「大調和」の徳によって、「独立自尊」「自主独立」「自己信頼」の大道を、光明一元の王道として歩みつづけてゆくことが出来るのである。
あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。