塾生諸君に述べておきたい。「理念(イデア)の美」というものは、天上世界にのみ実在しているものではなく、地上世界にこそ、積極的に実現され、顕現され、創造され、育まれてゆかなければならないものなのである。何故なら、地上世界こそ、一定の時間と空間の形式をもった多種多様なる生命の相遭遇する、唯一無二なる、神(オーバーソウル)の「一大光明芸術」の「場」そのものだからである。
故に、ともすれば生きにくい地上世界を徒らに嘆き、天上世界に憧れるだけではなく、地上世界にこそ、真なる理念(イデア)的真実を発見し、創造し、積極的に天の栄光を顕わしてゆき、漆黒の闇の中に、真に光を掲げてゆくことをもって貴しとしようではないか。そして、桎梏の如き様々な苦悩の鉄鎖から真に自由になり、理念(イデア)的光明を掲げつづけてゆこうではないか。
地上世界の人生こそが、真なる「大いなる夢」の舞台であり、最高最大最深の神(オーバーソウル)の芸術創造の舞台であり、その実現手段の一つとして、「自由意志」と「業の法則」と「天の摂理」が実在し、「創造力」と「想像力」と「個性的理念(イデア)」が与えられていることが根本認識出来れば、地上世界に、「善く生きる」ことを通して、真善美聖の諸価値を、積極的に人間の「生命」を通して顕わしてゆくことは、何と「悦び」に満ち満ちたことであろうか。
真に天地人を信頼し、「一大光明芸術」を創造し、積極的に実現しつづけてゆけば、あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。