塾生諸君に述べておきたい。「基本的人権」を侵害することは、本来、何人にも許されていないことなのである。このことが、自由主義の鉄則であり、民主主義の鉄則であり、真なる国益増進の鉄則であり、真なる地球益増進の鉄則なのである。
その意味において、「権力の濫用」について考えてゆく時に、一つ一つ丁寧に「基本的人権」の侵害という定点から、善悪を論じてゆかなければならないのである。たとえ、どのような「公権力」であろうとも、正当な理由なくして、「私」を侵すことは、決して許されていないことであり、充分な理由と根拠なくして、「基本的人権」を侵すことは、決して許されていないことなのである。
このような前提からはじめて、議会制民主主義、議会制自由主義が始まってゆくのであって、その根底には、「個人」の固有な「基本的人権」を尊重してゆくことを通して「公」に貢献し、国益と地球益を増進してゆこうとする「基本理念」が実在しているのである。
故に、日本精神を尊重し、時代精神を尊重し、世界精神を尊重し、宇宙精神を尊重してゆくことが、同時に、一人一人の国民を、「基本的人権」の侵害という被害から解放し、「公権力の濫用」という被害から解放し、一人一人の国民の真なる繁栄と健康を通した平和と幸福と文化創造に貢献してゆくことを旨としてゆかなくてはならないといえるのである。
一人一人の「基本的人権」の根底に実在している、唯一無二なる個性的理念(個性的イデア)を丁寧に尊重してゆく所から、真に「公」に対して、徳が生まれ、「公」に対して、天の栄光が降り注がれ、「公」を通して、自然に「私」が幸福に導かれ、一人一人の「大いなる夢」が、「大いなる志」として実現成就してゆく国が、主体的に建設されてゆくといえるのである。
「公」が真に「私」を尊重し、「私」が真に「公」を尊重してゆくことを通して、無限無数の精神的ジャパニーズドリーム、精神的グローバルドリーム、精神的ユニバーサルドリームの潮流がおこってゆけば、あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。