塾生諸君に述べておきたい。「臆病さ」を有していては、決して改革を押し進めてゆくことは出来ないのである。真なる「光明信念」というものは、一時的なあらゆる「現象の波」を超越して尊いものであり、永遠普遍の「理念の大道」を実現成就してゆくのである。故に、真なる「哲学」を有している「哲人」は、真に優れたリーダーシップを発揮してゆくのである。
「哲学」というものは、本来、知識の「量」の問題ではないのである。様々な経験の中で、自ら活かしてゆくことによって獲得してきた知恵の「質」の問題なのである。故に、真に実践的な叡智を、実人生、実生活、実社会の中において培ってゆかなければならない。それこそ、真なる知恵を愛する(フィロソフィー)ということであり、知恵を通して、大宇宙、大自然を尊んでゆくという、健全で自然な「哲人」としての信仰心と愛なのである。
かの勝海舟の如き「知恵」も、単なる「知謀」とは異なる点が実在するのである。それは、勝海舟の「哲人」としての洞察力の深さと、「哲人」としての博愛精神に由来するといえるのである。故に、諸君は、常に、活き活きとした「知恵」をもって貴しとせよ。活き活きとした「叡智」をもって貴しとせよ。活き活きとした「言霊」(ロゴス)をもって貴しとせよ。活き活きとした「風韻」をもって貴しとせよ。
真なる「叡智」の光明からは、真なる「人徳」の光明が光輝いてゆくのである。その意味において、東洋哲学の「致知」という言葉も、西洋哲学の「哲学」(フィロソフィー)という言葉も、本来一つである。「哲人」としての「真理」は、本来「一つ」であり、「永遠普遍」である。
諸君は、活き活きとした「哲人」として、あらゆる人間としての「弱さ」を乗り超え、真なる「剛さ」を育み、積極的に自己の運命を開拓し、国家の運命を開拓し、地球の運命を開拓してゆきなさい。真に心を一つにして、自己の「壁」とみえしものを丁寧に突破しつづけてゆけば、あらゆる「不可能」は「可能」となり、真なる「哲学」に基づいた真なる「光明信念」は実現し、「大いなる夢」は実現してゆくのである。あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。